歯科コラム

気になるお口の臭いの原因👄

口臭には大きく分けて「生理的口臭」「病的口臭」「心理的口臭」の3種類に分類されます。

1.生理的口臭

誰にでも起こる一時的な口臭です。起床時や空腹時、緊張しているときなどに強くなるのが特徴です。唾液の分泌が減ることで口の中の自浄作用が弱まり、口臭が発生しやすくなります。これは体の自然な反応であり、水分補給や歯磨き、食事を摂ることなどで軽減される場合がほとんどです。基本的には心配のいらないタイプですが、継続的な口臭が気になる場合は他の原因がないかをチェックしましょう。

2.病的口臭

虫歯や歯周病、舌苔(舌の表面の汚れ)など、お口の中の疾患が原因で発生する口臭です。特に歯周病は進行すると強い臭いを伴うガスを発生するため、口臭の原因としてよくみられます。また、蓄膿症(副鼻腔炎)や胃腸の不調など、口以外の病気が関係していることもあります。これらの場合は、歯科医院や医療機関での治療が不可欠です。

3.心理的口臭

実際には口臭がしていないにもかかわらず、「自分の口は臭っている」と思い込んでしまう状態です。ストレスや不安、過去の指摘経験などがきっかけになることもあり、非常に繊細な問題です。過剰な口臭対策に走ってしまうケースもあるため、必要であれば専門医や心療内科のサポートを受けることも検討しましょう。

歯周ポケットで発生する硫黄ガス

歯周病が進行すると、歯と歯ぐきの間に「歯周ポケット」と呼ばれる深い溝ができます。このポケット内は空気が届きにくく、嫌気性菌という酸素を嫌う細菌にとって最適な繁殖環境となります。これらの細菌はタンパク質を分解する過程で、硫化水素やメチルメルカプタンといった揮発性硫黄化合物(VSC)を発生させ、強い口臭の原因となります。特にメチルメルカプタンは腐ったキャベツのような臭いを発し、病的口臭の中でも最も不快とされるものの一つです。歯周ポケットが深くなるほど、ガスの発生量は増え、ブラッシングなどの通常のケアでは届きにくいため、臭いの改善が難しくなります。自覚症状がない段階でも、こうした細菌の活動は進行しているため、口臭が最初のサインとなることも少なくありません。

歯ぐきからの出血や膿の影響

歯周病が進行すると、炎症によって歯ぐきが赤く腫れ、ブラッシング時や硬い食べ物を噛んだ際に出血しやすくなります。さらに重症化すると、歯周ポケット内部に膿がたまり、歯ぐきから排出されることがあります。この膿には大量の細菌とその代謝産物が含まれており、非常に不快な臭気を伴います。口の中で出血や膿が持続的に存在することは、恒常的に悪臭を発する要因となり、いくら口をゆすいでも簡単には消えません。また、出血によって鉄分やタンパク質が口腔内に滞留することで、細菌の栄養源となり、さらに悪化を招きます。このような状況は本人だけでなく、周囲の人にも気づかれるレベルの強い口臭となることが多く、社会生活においても大きなストレスとなる可能性があります。

無症状でも進行するのが歯周病の怖さ

歯周病は「サイレントディジーズ(沈黙の病気)」とも呼ばれるように、初期の段階では痛みや腫れといった自覚症状が乏しいのが特徴です。そのため、口臭という「におい」だけが唯一の異変として現れることも少なくありません。気づかないうちに歯周病が進行し、気づいたときには歯を支える骨が溶け始め、歯がグラついてしまうケースもあります。口臭が慢性的に続く場合、歯ぐきの状態を可視化する歯科でのチェックが非常に重要です。歯周ポケットの深さ、出血の有無、歯の動揺などを診ることで、歯周病の進行度を把握し、適切な治療につなげることができます。口臭対策としてマウスウォッシュなどを使用しても、根本的な原因が解決されない限り改善は難しく、むしろ臭いをごまかすことで発見を遅らせることにもなりかねません。

口臭のセルフチェック方法

口臭がどうしても気になる場合、患者さん自身で行うことができるセルフチェックを試してみるといいかもしれません。口臭のセルフチェックを行う際には、こちら方法がお勧めです。

①唾液の匂いを嗅ぐ

唾液の臭いを嗅ぐと口臭有無を判断できる可能性があります。具体的な方法ですが、舌の上、あるいは歯と歯肉の溝を指で触り、指に付着した唾液の臭いを嗅ぎ、手首を舌で舐めた後に手首の臭いを嗅ぎます。ただし、口臭はないのに唾液自体は臭うケースが多いので注意です。

②ビニール袋やコップに吹き込んだ息の匂いを嗅ぐ

吐いた息の臭いを嗅ぐことも、口臭有無の判断に有効です。実際の手順として、ビニール袋やコップに息の臭いを吹き込んだ直後、本などを使って蓋をして、少し時間を置いてから蓋を外して臭いを嗅ぎます。寝起きや空腹などのタイミング次第では、普段口臭がない人も誰でも起こる生理的口臭を感じる可能性があることを頭に入れておく必要があります。

🦷歯医者でできる口臭ケア🦷

口臭が気になる方は、まず歯科医院での検査を受けることが大切です。歯科医院では、口臭の原因を正確に把握し、専門的な対策を行うことができます。

1.専門的なクリーニング(PMTC)

歯科医院で行う「PMTC(Professional Mechanical Tooth Cleaning)」は、歯科衛生士が専用の器具と薬剤を使って行うプロのクリーニングです。歯ブラシでは届きにくい歯と歯の間や歯周ポケット内の歯垢・歯石、着色汚れ、細菌の塊(バイオフィルム)を除去します。さらに、歯の表面を滑らかに仕上げることで細菌の再付着も防ぎます。PMTCを定期的に受けることで、口臭の原因菌を減らし、長く清潔な口腔環境を維持できます。

2.虫歯・歯周病治療

口臭の原因として多い虫歯や歯周病は、歯科医院での適切な治療が不可欠です。虫歯の進行による神経の腐敗や、歯周病による歯茎の膿は、強い悪臭のもとになります。歯科医院では、スケーリング(歯石除去)やルートプレーニング(歯の根の洗浄)を通じて、歯周ポケット内の細菌を取り除き、炎症を改善します。必要に応じて薬剤の塗布や処方も行われ、再発防止にもつながります。定期的な検診と早期治療が口臭予防の鍵です。

3.舌クリーニング

舌苔は細菌や食べかす、古くなった細胞などが混ざり合ったもので、特に朝方に多くなります。歯科医院では、舌専用のブラシやヘラの使い方など、効果的で安全な舌ケアの方法を丁寧に指導します。自己流で強くこすってしまうと舌を傷つけ、逆効果になることもあるため、正しいケアの習得が重要です。

📝患者さんだけでは口臭に気付けないケースも多いため、舌ブラシの使用やデンタルフロス・歯間ブラシの併用によって、口臭の発生を未然に防ぐよう努めることが望ましいです。当院では歯科治療やクリーニングはもちろん、自由診療のプロフェッショナルクリーニングも行っております。ぜひ気になる方はお気軽にご相談ください✨

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